病める無限の芸術の世界

芸術に言い訳する方法ばかり考えています。

最近いただいたもの|ダントー『ありふれたものの変容』松尾訳、倉田『現代存在論講義II』

最近いただいたものです。
貧乏だからありがたいという気持ちと、学生なのにいただいてしまって申し訳ないという気持ちです(常に)。

一つ目:アーサー・C・ダントー『ありふれたものの変容』松尾大訳、慶応大学出版会、2017年。

ありふれたものの変容:芸術の哲学

ありふれたものの変容:芸術の哲学

 

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慶応大学出版会の村上さんからいただきました。
ありがとうございます。
翻訳をした松尾大先生は僕の学部時代の指導教員で、僕を無から少し美学を知っている人にしてくれら方です。
ありがとうございます。

この本は、色々本を書いているダントーの中でも、哲学的・美学的なものとしては主著に値する本で、美学の論文だとおそらく最も引用される本です。

この本は、アートワールドから一貫しているダントーの姿勢が、芸術の定義、芸術作品の存在論、美的・芸術的性質、様式といった美学の主要問題にどのような展開を果たしているのかをよく示しています。

それまでの大御所(グッドマンの芸術の言語など)と戦い、これ以降多くの人々に戦いを挑まれてきた名著です。

特に、芸術の言語や記号主義と対比させながら読むと、80年代の美学界についてよくわかると思います。

芸術の言語

芸術の言語

 

 

記号主義―哲学の新たな構想

記号主義―哲学の新たな構想

 

美学を少しでも勉強する者なら買わない手はありません。

二つ目:倉田剛『現代存在論講義II:物質的対象・種・虚構』新陽社、2017年。

現代存在論講義II 物質的対象・種・虚構

現代存在論講義II 物質的対象・種・虚構

 

 

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これは二部作の第二部で、第一部はこれ。

現代存在論講義I?ファンダメンタルズ

現代存在論講義I?ファンダメンタルズ

 

第一部は購入したのですが、第二部は倉田先生のご厚意でご恵投いただきました。
ありがとうございます。

この第二部は、僕がまさにやっていることの半分くらいが入っている章で、読むのが楽しみでしかたない。

さらにいうと、美学をやっている人ならばこれは買わないと損。
物質的対象で問題にされる物質的組成material constitution(本作では物質的構成と約される)は、粘土とそこから作られる像がどのような関係にあるのかを探る、形而上学的で美学的なトピック。
さらに、種や虚構の章でも、広く人工物と呼ばれるものに関する存在論が展開されており、もう本当に買うしかない。

入門書では『ワードマップ現代形而上学』や『ワードマップ現代現象学』、『現代形而上学入門』、専門書では『フィクションの哲学改訂版』でも取り上げられている通り、哲学の中では周辺にあった人工物、依存的対象が少しずつ哲学のメインストリームの隣あたりくらいまで進出している。
加地先生の『穴と境界』も面白いし、依存についてもよくわかる。

(ここには、新アリストテレス主義といわれる形而上学的な動向があって、実体、依存、基礎づけといった歴史的に埋もれてきた概念がまた再び扱われるようになってきている。『アリストテレス的現代形而上学』参照。)

このような入門書がたくさん登場するのは嬉しいとともに、私のやっている仕事の需要が増えることを祈り続ける。 

ワードマップ現代形而上学: 分析哲学が問う、人・因果・存在の謎

ワードマップ現代形而上学: 分析哲学が問う、人・因果・存在の謎

 

 

現代現象学―経験から始める哲学入門 (ワードマップ)

現代現象学―経験から始める哲学入門 (ワードマップ)

 

 

現代形而上学入門

現代形而上学入門

 

 

フィクションの哲学 〔改訂版〕

フィクションの哲学 〔改訂版〕

 

 

アリストテレス的現代形而上学 (現代哲学への招待 Anthology)

アリストテレス的現代形而上学 (現代哲学への招待 Anthology)

  • 作者: トゥオマス・E・タフコ,加地大介,鈴木生郎,秋葉剛史,谷川卓,植村玄輝,北村直彰
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2015/01/21
  • メディア: 単行本
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