病める無限の芸術の世界

芸術に言い訳する方法ばかり考えています。

グッドマン『芸術の言語』ブックフェア:担当箇所解説

ネルソン・グッドマンの『芸術の言語』が刊行されて三ヶ月ほど、『芸術の言語』刊行記念のブックフェアが行われます。 以下のサイトに詳細がありますが、私は「芸術作品の真正性」という項目を担当しました。 新しい古典がやってくる!『芸術の言語』刊行記…

卒論を書いたことなど。

めっきりこのブログを放置している間に卒論が完成していました。 岩切啓人. 2016. 「複製可能な芸術形式とその基準——ネルソン・グッドマンの区別を再定義する」東京藝術大学美術学部卒業論文. 芸術作品の存在論です。分析系です。それも、ネルソン・グッドマ…

ご恵投:ネルソン・グッドマン『芸術の言語』戸澤義夫・松永伸司訳

慶應義塾大学出版会様より、ネルソン・グッドマン『芸術の言語』戸澤義夫・松永伸司訳を頂きました。皆様ありがとうございます。 慶應義塾大学出版会からネルソン・グッドマン『芸術の言語』戸澤義夫・松永伸司訳を頂きました。皆様ありがとうございます。僕…

カロル・タロン=ユゴン『美学への手引き』のグッドマンのところ

カロル・タロン=ユゴンの『美学への手引』(文庫クセジュ、2015年)のやつを読みました。まぁ読みやすさはあるけど、たぶん原著ではこれは「(任意の哲学ターム:例えば外延とか)」のことを言っとるんやろなーという語に一般的でない訳語があてられていたり…

ベンヤミンのアウラとグッドマンの区別

ベンヤミンのアウラという概念が昔から嫌いで、アウラをよく知らずに云々する我が大学の(主に実技の)諸先生方も嫌いでした。 けど芸術の存在論で真正性について取り組んでいる身として、アウラ概念に関しては考えねばならないと思っている。 グッドマンの…

哲学若手研究者フォーラムで発表してきました

題の通り、哲学若手研究者フォーラムで発表してきました。researchmapとか個人サイトとかないんでここに資料あげときます。 ・「複製不可能な芸術形式とその基準――新しい芸術への適用可能性――」12MBあるので携帯の方とかご注意ください、あとベン図は誤った…

セオドア・グレイチック「音楽と情動」

Gracyk, T. 2013. On Music. NY: Routledge.Routledge から出てる Thinking in Action シリーズの音楽本。勉強会で読んでます。今回は第三章で、音楽と情動に関する章。 On Music (Thinking in Action) 作者: Theodore Gracyk 出版社/メーカー: Routledge 発…

デイヴィッド・サマーズ「様式」

David Summers, “Style”, in David Summers, Real Spaces: World Art History and the Rise of Western Modernism (London: Phaidon, 2003), 68–72. 英米圏の超安牌アンソロジー所収の論文です。ずっと美術史に興味があるので、これはいい本だと思ってます。…

哲学若手研究者フォーラムで発表します

*追記(2016年6月8日 一部誤りがあったので訂正しました。) 題の通り、哲学若手研究者フォーラムで発表させていただくことになりました。学部生で発表させてもらえるところは少ないので、大変ありがたいです。けど、過去にも学部生で発表したことある人い…

セオドア・グレイチック「言葉と一緒に、言葉を離れて:理解して聴取する」

Gracyk, T. 2013. On Music. NY: Routledge.Routledge から出てる Thinking in Action シリーズの音楽本。勉強会で読んでます。今回は第二章で、音楽の理解に関する章。 On Music (Thinking in Action) 作者: Theodore Gracyk 出版社/メーカー: Routledge 発…

アーロン・メスキン「コミックの存在論」

Meskin, Aaron. 2012. “The Ontology of Comics.” In The Art of Comics: A Philosophical Approach. eds. A. Meskin and R. T. Cook, 31–46. Oxford and Malden, MA: Wiley-Blackwell. 某読書会で読んだのであげときます。 メスキンとクックのコミック本の…

セオドア・グレイチック「耳に触れる以上のもの:音楽と芸術」

Gracyk, T. 2013. On Music. NY: Routledge.Routledgeから出てるThinking in Actionシリーズの音楽本。勉強会で読んでます。今回は第一章で、音楽の定義と音楽は芸術家という問題に関する章。 On Music (Thinking in Action) 作者: Theodore Gracyk 出版社/…

フリースタイルダンジョンから入った人向け おすすめアルバムまとめ

バズってる記事の追記です。 ertb.hateblo.jp ホントはこっちの方に熱量使いたかったんだけど、ちょっとバズりの対応とかで今は元気がない。 なので前の記事で言えなかったことと聞きやすいアルバムを10枚にしぼって紹介します。ぶっちゃけ絞るの無理なので…

フリースタイルダンジョンについて思うこと

*結構反響がでかいので、ちょっと分かりやすく脚注を足しました。本文はいじってないです。 ーーー 今フリースタイルダンジョンが流行ってますね。テレ朝火曜深夜のフリースタイル番組です。 はじめは番組の存在を知らなかったけど、一週目があったときに大…

ジェロルド・レヴィンソン「音楽作品とは何か、再び」

Levinson, J. 2011/1990. "What a Musical Work Is, Again." In Music, Art, and Metaphysics, Oxford: Oxford University Press, 215-63. 長大な論文でした。分析美学にありがちな結論微修正系の論文。 Music, Art, and Metaphysics 作者: Jerrold Levinson…

樋笠・井奥・津田「バウムガルテン『形而上学』訳注―その1―――」貰いました

樋笠勝士・井奥陽子・津田栞里「バウムガルテン『形而上学』(第四版)「経験的心理学」訳注―その1―――」『成城文藝』233・234、成城大学文学部、2015. 貰いました。 つっても勉強会でやっていたので恵投ではなくもらっただけです。バウムガルテン、僕は存在…

個人的音楽哲学・音楽美学で翻訳して欲しい著作

最近翻訳について色々考えている。色んな翻訳を見ると色んな間違いがある。超越論的が超越的になってたり、直感的(ないし情感的、美的)が美学的になっていたりと、偉い文庫の翻訳でも色々ある。 けど、翻訳があるからその研究が捗るよなみたいなのは確実に…

『踊り場 vol.1』読んだ

書誌情報がわからないのですが、『踊り場 vol.1』という雑誌を読みました。 編集長は芸術学科の後輩の野口翔平くん。以下のサイトで、雑誌とepubとpdfのどれかの形式で購入することができる。 odoribamag.stores.jp 僕の学科は一応芸大の中にあるということ…

モンロー・ビアズリー「意図の誤謬」

Wimsatt, W. K., & Beardsley, M. C. 1946. "The Intentional Fallacy." The Sewanee Review 54(3): 468-488. 元がこれで、初めはこれを読みました。けどまとめる際には以下に入ってるやつでまとめました。雑誌の方は結構無駄な例とかあって難解だったイメー…

デイヴィッド・キャリアー「ヴィンケルマンとペイター――美術史著述のふたつの様式」

Carrier, D. 1993. “Winckelmann and Pater: Two Styles of Art-Historical Writing.” In Principles of Art History Writing. Penn State Press. Principles of Art History Writing 作者: David Carrier 出版社/メーカー: Pennsylvania State Univ Pr 発売…

バウムガルテン『美学』文庫版を購入

アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン『美学』松尾大訳、講談社学術文庫。 美学 (講談社学術文庫) 作者: アレクサンダー.ゴットリープ・バウムガルテン,松尾大 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/01/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3…

2015年を振り返って

なんとなく1年を振り返ります。理由はクリスマスが来てしまうとゆっくり1年を振り返る余裕がなくなるからです。 勉強関連 最近色々停止してた感じもありますが、勉強会をほそぼそと継続していました。今年は分析美学勉強会(森さん主催のやつ)、分析美学鬼…

SEP:音楽哲学 第一章「音楽とは何か?」

SEPのPhilosophy of Musicの中の1. What Is Music?の訳出です。これも1日1時間くらいでぼちぼち始めます(12/21)*1。眠れないのでやってたら終わりました(12/22)。 SEP:音楽哲学の訳出リストまとめ第一章:音楽とは何か?(ココ)第二章:音楽の存在論 *1:…

SEP:音楽哲学 第二章「音楽の存在論」

SEPのPhilosophy of Musicの中の2. Musical Ontologyの訳出です。1日1時間くらいやります(12/14)。終わりました(12/16)。更新(2017/03/16) SEP:音楽哲学の訳出リストまとめ第一章:音楽とは何か?第二章:音楽の存在論(ココ)

ジェニファー・ロビンソン「音楽における情動の表出と喚起」

Robinson, J. 1994. "The expression and arousal of emotion in music." Journal of Aesthetics and Art Criticism, 13-22. 音楽作品の情動に関して、これまでの議論を整理・批判し、新たな論をたてた古典的論文です。

バルト「作者の死」は解釈と意図に関する議論でない

ツイッターで作者の意図に関する話がいろいろでてた。トゥゲッターとかでまとめる元気はないので詳しくは「作者の意図」とか「分析美学」とかで検索してください。 分析美学以外の領域(たぶん文学理論とかですかね)だとバルトの「作者の死」がまずその代表…

ご恵投:松田准一『隕石でわかる宇宙惑星科学』

生まれて初めて謹呈を頂きました。大学で同期入学した阪大名誉教授でいらっしゃる松田准一さんから『隕石でわかる宇宙惑星科学』をご恵投いただきました。 隕石でわかる宇宙惑星科学 (阪大リーブル051) 作者: 松田准一 出版社/メーカー: 大阪大学出版会 発売…

音楽哲学の書籍まとめ

音楽哲学というのは(日本では)悲しい分野で、ここ30年くらいの英米哲学界隈(特に美学界隈)だとかなり大きく発展した分野にも関わらず、日本語で読めるまとまった書籍が存在しません。 強いてあげるなら『分析美学入門』くらいでしょうか。 ということで…

ピーター・キヴィ「音楽におけるプラトン主義:ある種の擁護」

Kivy, P. 1983. "Platonism in Music." Grazer Philosophische Studien, 19: 109-129. ウォルハイム⇒ウォルターストーフと続いてきた芸術作品の存在論におけるタイプ説の系譜。 1980年のジェロルド・レヴィンソンの「音楽作品とは何か」で普遍者であるタイプ…

ピーター・ストローソン「美的査定と芸術作品」

P. F. Strawson. 1974. “Aesthetic Appraisal and Works of Art." in Freedom and Resentment, London: Mathuen, 178-88. 一応芸術の価値に関する文献らしいのだが、よくわからん&結構微妙な論文だった。

スティーブン・デイヴィス「ヴァイオリンかヴィオールか?フレットの理由」

Davies, S. 1990. "Violins or Viols?: A Reason to Fret." The Journal of Aesthetics and Art Criticism, 48(2): 147-151. レヴィンソンのオーセンティシティ論文(ジェロルド・レヴィンソン「真正な演奏と演奏手段」 - ertb)に対する反論論文

お役立ち情報

多分pdfで公開されてるんで僕がまとめても問題ないと思います。

似ているものの美学

パクリとかオマージュとかが流行ってます。たしかにパクリとかオマージュは、それが倫理的かどうかとか色んな問題を持つけど、明らかに美学的な問題。ぱっと思いつくだけでも、オリジナリティ(originality)、創造性(creativity)、美的 / 芸術的価値(aes…

スティーブン・デイヴィス「ロック対クラシック」

Davies, S. 1999. "Rock versus Classical Music." The Journal of Aesthetics and Art Criticism, 57(2): 193-204. ロック音楽を鑑賞・評価する際には、異なる基準が必要なのかどうか検証した論文。ボー(Bruce Baugh)のロック論に変更と修正を加えていく。

ケンダル・ウォルトン「芸術のカテゴリー」

Walton, K. 1970. "Categories of Art." The Philosophical Review, 79(3): 334-367 素晴らしい翻訳⇒K. Walton「芸術のカテゴリー」|morinorihide|note 芸術作品を評価・批評する際に、作品をつぶさに眺めさえすれば得られる作品それ自体の性質だけを知覚…

ジェロルド・レヴィンソン「真正な演奏と演奏手段」

Levinson, Jerrold. 1990. "Authentic Performance and Performance Means." in Music, Art, and Metaphysics, Oxford: Oxford University Press, 393-408. Music, Art, and Metaphysics: Essays in Philosophical Aesthetics 作者: Jerrold Levinson 出版社…

ジョセフ・マゴーリス「芸術作品の存在論的独自性」

Margolis, Joseph. 1977. "The Ontological Peculiarity of Works of Art." The Journal of Aesthetics and Art Criticism, 36(1): 45-50. 初期分析美学の哲学者、マゴーリス*1の論文。 タイプとトークンに関する議論を芸術作品に応用したもの。 *1:マーゴリ…

リディア・ゲーア「音楽作品の唯名論的理論」

Goehr, Lydia. 2007. "A Nominalist Theory of Musical Works." In The Imaginary Museum of Musical Works*1. Oxford: OUP, 13-43. (ゲーア, リディア. 2013.「音楽作品の唯名論的理論」福中冬子訳. 『ニューミュジコロジー:音楽作品を「読む」批評理論』…

ステファノ・プレデリ「グッドマンと楽譜」

Predelli, Stefano. 1999. “Goodman and the Score.” The British Journal of Aesthetics, 39(2): 138-147. グッドマンは記譜法(notation)に基いて音楽作品の同一性について語ったが、そのことはこれまで反直観的であると批判されてきた。 プレデリは、そ…

モーリス・ヴァイツ『美学における理論の役割』

Weitz, Morris. 1956. “The Role of Theory in Aesthetics.” The Journal of Aesthetics and Art Criticism, XV: 27-35.

レナード・B・メイヤー『音楽における情動と意味』

Meyer, L. B. 1953. Emotion and Meaning in Music. Chicago: Chicago University Press.

素朴さとその整理――分析美学を特に

Twitterでdisられたので覚書を書くことにした。

渡辺裕『西洋音楽演奏史論序説』第一章

渡辺裕. 2001. 『西洋音楽演奏史論序説:ベートーヴェンピアノ・ソナタの演奏史研究-』春秋社, pp. 68-91. 第一章のみ

【編集中】SEP:音楽哲学(The philosophy of Music)

オンラインの哲学辞典といえば、インターネット哲学百科事典(IEP)とスタンフォード哲学辞典(SEP)の2つがある。 前者の方が入門的なのだけど、現代の音楽美学に関する網羅的な記事がないので*1、後者の中の音楽の哲学(The Philosophy of Music)の項を取り上げ…

ジェロルド・レヴィンソン「音楽作品とは何か」

Levinson, Jerrold. 1980. "What a musical work is." The Journal of Philosophy, 77(1): 5-28.

門林岳史「美はどこへ行ったのか? : 神経美学の批判的系譜学」

門林岳史「美はどこへ行ったのか? : 神経美学の批判的系譜学」 (美学芸術学論集, 8, 52-61, 2012-03)

ertb

ertb @ertb_ertb 東京大学人文社会系研究科基礎文化研究専攻思想文化コース(美学芸術学/修士過程)専門は現象学と分析哲学における美学。とくに、芸術作品の存在論。 勉強会・読書会をやっています。 ・分析美学鬼嫁会:主に分析美学の重要文献を読みます…